前回までのあらすじ・・・
朝からサタさんにつかまり、
新しい入居者さんが入る居室のチェックを終え、
キヨエさんにつかまるも事務仕事をいくつか終え、
福祉タクシー事業の担当者と打ち合わせをし、
またキヨエさんにつかまるも、
とうとう現場にたどりつき、将棋。相手は二郎さん。
不利な形勢から逆転に転じかけようとしているときにばかひとみに
ばかなことを言われて腹をたてつつも将棋の勝負は結末を迎えつつある。
はたして勝負の行方は・・・
時刻は朝11時13分
とうとう勝負が終わる時が来ました。
二郎さんの「まいりました」の声。
私の勝ちです。
誰もみていませんでした。
我々は「ありがとうございました」と
お互いの労をねぎらい、
またお互いの力を認め合い、
「また今度ね」と言葉を残し、
私は席を立ちました。
私は我に返り、現場の仕事に戻ります。
といっても特にやることはなさそうです。
ひとみさんが全部ひとりでやってしまっているからです。
時刻は11時20分
「あれ?往診まだ来ないの?」ひとみさんに声をかけます。
「はい~」(ちょっと遅れてますね~)とひとみさんの声。
そうなんです。
往診の日だったのです。
往診の日とは提携している病院の医者と看護師が月に1回、
我がグループホームに来て、利用者さんたちの健康チェックを
してくれる日のことです。
「飯食う時間になってまるべな~」と私
「そうなんですよ~」とひとみさん
と言いながらも私どもはその提携病院のおかげで飯を食わせてもらっていると言っても
過言ではないほど、いろいろとお世話になっているのです。
入居者さんを紹介していただいたり、入居者さんが入院したり、
薬を処方していただいたり、薬を作ってくれたり、
利用者さんの状態が悪くなったときは、急にかけつけてくれたり、
医療的なことでわからないことや確認したいことがあれば、
電話を一本すればいろいろと教えてくれるし、
開設以来13年のつきあいのある大病院様です。
足を向けては寝られません。
まして「おせんだね~」などとは言ってはいけません。
時刻は11時半を過ぎました。
続く・・・