前回までのあらすじ・・・
朝からサタさんにつかまり、
新しい入居者さんが入る居室のチェックを終え、
キヨエさんにつかまるも事務仕事をいくつか終え、
福祉タクシー事業の担当者と打ち合わせをし、
またキヨエさんにつかまるも、
とうとう現場にたどりつき、二郎さんと将棋。
1時間を超える熱戦の末、勝負を終えた私。
ふと我に返り、往診の先生がまだ来てないことに気づく。
その一方でサタさんが薬がないと訴え始めている。
その薬を買いに行くと決めた我々。
昼飯を食べ始める我々。
そこに玄関のチャイムがなる・・・
「ピンポーン」
「あ!やっと来た!!」
つい大きい声をだしてしまう私。
下を向きながら入ってくる先生。
「ご苦労様で~す」
スリッパを準備しにかかる我々。
さっそく往診の始まりです。
ひとみさんは往診の先生と看護師と一緒にひとりひとりの利用者さんに付き添います。
あのばかひとみの目つきが一瞬に介護職人のするどい目に変わります。
私とサタさんは気にせずに黙々と焼きそばをたいらげます。
蛯名さん(調理師)が私に温めたスープを持ってきてくれました。
(私のお盆にはおにぎりだけでなくスープもなかったのです)
「ありがとう」
サタさんのスープはもうきっと冷めています。
介護職人のひとみさんは昼飯も食べずに往診に付き添っています。
それを横目にみながら、私はあっという間に昼飯を食べ終わります。
そして、既に食べ終わっている利用者様の食事摂取量をチェックし始めました。
食事摂取量のチェックとは、
主食、副食、汁物、飲み物(お茶)を各利用者さんたちがどの程度食したかを
100%を完食として細かく記録に残していくことです。
これを記録しておくことにより24時間で利用者様がどのくらいの水分を補給しているかの
確認ができます。
水分摂取量は一日1000CCを超えるように気を配ります。
夏も近づいているので、脱水症状が起きないように水分摂取量は特に注意が必要です。
一通りの方の往診が終わり、とうとうサタさんのところに先生が来てくれました。
サタさんはまだ食事中です。
看護師がバイタルを計り、先生が聴診器で彼女の体内の音を聞きます。
サタさん「ふつうですか?」
先生 「はい。ふつうですね。元気です」
サタさん「先生の病院にいつでも行くがらな」
先生 「来なくても大丈夫ですよ」
サタさん「・・・」
先生 「元気なうちは来なくてもいいです。悪くなったら来てください」
サタさん「あ~」
あっという間の往診でした。
先生がいなくなってからご飯の続きをし始めたサタさんが言いました。
「あの医者、どごの病院の医者だ」
私「・・・」
サタさんの隣で食事をしていた男性職員が言いました。
「〇〇病院だよ!」
サタさん「〇〇病院?」「なんだそれ?」
なんということでしょう。。。
時刻は昼の12時半です。
続く。