前回の続きです。
私を村上先生だと思い込んでいるK様。
マッサージをし始める私。
K様「村上先生の息子さん?」
私 「はい」
K様「村上先生がうちの旦那のがんをいち早くみつけてくれたのよね~」
私 「そうですね」
K様「あのときは世話になったわね~」
私 「いえいえ」
K様「村上先生のお孫さん?」
私 「はい」
K様「あら~ずいぶん立派なお孫さんがいらしたのね~」
私 「いや~」
K様「村上先生が私の旦那のがんをいち早くみつけてくださったのよね~」
私 「あ~そうでしたよね~」
K様「あのときは大変お世話になったわね~」
私 「いえいえ」
K様「ここは栄町の村上病院とは違うの?」
私 「はい」
K様「ここは場所はどこらへんなの?」
私 「ここは横内の手前です」
K様「あら~息子さんがこっちをやってるのね~」
「栄町の方は?」
私 「父がやっています」
K様「あら~おじいちゃん先生は?」
私 「引退しました」
K様「あら~村上先生がうちの旦那のがんをいち早くみつけてくださったのよね~」
私 「そうでしたよね~」
このようなやりとりが延々と続きます。
時折1分ほど無言になることもあり、そろそろ寝るのか、そろそろかと期待しながら
マッサージを続けます。
しかし、また同じような話をし始めての繰り返しです。
1時間程たった頃、
K様「そういえば、家のシャッターの鍵を空けっぱなしで来てしまったわ」
私 「お嫁さんが閉めてくれてるんじゃないですか?」
K様「いや、あそこの鍵は私が最後に開けたから」
私 「お嫁さんに電話して閉めてもらいましょうか?」
K様「いや、嫁は今仙台に行ってるからいないはず」
「私が、帰って鍵をかけないと」
私 「あ~」
今度はこのやり取りが延々と続きます。
マッサージをして気持ちよくして寝せるはずが、また帰宅欲求が出てきてしまいました。
時刻は夜8時半。
長内さんは私の代わりに夜勤業務をしてくれています。
K様の居室から出て私は長内さんに言いました。
「帰ってもいいよ。まだまだかかりそうだから」
「他の職員を呼ぶからいいよ」
長内さん「他の職員を呼ぶくらいなら私が残りますからいいですよ」
私 「んだ?」
長内さん「はい」
これ以上マッサージをしてもK様はまだ寝ないだろうと悟った私は、
一服することにしました。
そして仕切り直しをすることにしました。
続く・・・