前回の続きです。
帰宅欲求が非常に強いK様。
1時間マッサージをしてもお休みになることはなく、
まだ帰るとお話ししています。
家のシャッターの鍵を開けてきたかもしれないと心配しているのです。
時間は夜10時。
私は医者のふりをして聴診器を持ってKさんの診察を始めました。
私 「Kさん、今日はどこが悪いんですか?」
K様「ん~特にどこもわるくないんですけど(笑)」
私 「腰は痛くないですか?」
K様「ちょっと痛いわね~」
私 「それでは、あちらに横になってください」
K様「はい」
言われるがままにKさんはリビングのソファーベッドに横になります。
「Kさんこれに着替えてください」
再度パジャマに着替えさせます。
そしてまたマッサージを始めました。
そして、また色々な話をしました。
例えば痔の話や、村上先生に旦那のがんをいちはやく発見してもらった話です。
そしてシャッターの鍵をかけて来なかったという話です。
K様はまたもや眠りにつきません。
寝そうで寝ないのです。
また1時間が経過しました。
時間は夜11時
私はK様を家に連れて帰ろうと決めました。
正確に言うと、家に行ってシャッターの鍵がかかっていることだけを確認すれば
気が済むだろうと予測しました。
夜勤中の留守番を長内さんに託し、
私はK様を車に乗せて、ここから10分とかからないご自宅へ連れて行きました。
K様は家の近所の中華料理屋まで行けばそこからご自宅までの道を記憶されています。
夜11時といってもここからK様のご自宅までの幹線道路はまだ明かりが灯っている飲食店やスーパーも多いです。
ここはジャスコですよ。
これはビジネスホテルですよ。
などとバスガイドの様にいちいち案内をしてK様の気を紛らわします。
そして、とうとうK様のご自宅に着きました。
すると外の外灯も家の玄関の明かりも家の中の明かりもついていました。
K様「あら、電気がついてるわね」
私 「・・・・う、うん・・・」
ご自宅を過ぎてあえてとなりの家の前に車を泊めます。
私の車はスモークがかかっているのでK様からご自宅はよく見えません。
私「Kさん!シャッターの鍵がかかってるかどうか確認してきますね」
K様「はい。お願いします」
急いでKさんを車に残したまま私は実際にシャッターを開けてみました。
鍵がかかっていました。
泥棒だと通報されたらどうしようかと一瞬冷や汗ものでした。
急いで車に戻り
私 「Kさん!シャッターに鍵かかってたよ!」
K様「あら、そう」
私 「・・・よかったね~!!」「じゃあ帰ろうか」
K様「そうだね」
私 「もう夜12時になるよ。お嫁さんももう寝てたよ」
K様「そうだね。」
私 「・・・・」(Kさんは既に家に明かりが灯っていたことなどは忘れているのです)
拍子抜けしながら来た道と同じ道を戻りました。
そしてK様にまた同じ案内をしました。
私 「Kさん、ここがジャスコだよ」
Kさん「あ~そうだねー」
Kさん「あれは何?」
私 「あれはホテルだよ。ビジネスホテル。最近できたんだよ」
Kさん「あ~」
あっという間に苑に到着。
疲れたKさんはそそくさと部屋に入りすぐに眠りにつかれました。
いったいあの苦労はなんだったのでしょう。
夜12時までつきあってくれた長内さん、ありがとう。
あれから1週間がたちますがKさんの帰宅欲求はまだまだ現在進行中です。
今も毎晩毎晩みんなで力を合わせて対応しています。
この重度の帰宅欲求はあと2週間はかかるかな~。
いつも遅くまで残業させてしまってごめんね。