久しぶりの日勤です。7

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前回までのあらすじ・・・

朝からサタさんにつかまり、
新しい入居者さんが入る居室のチェックを終え、
キヨエさんにつかまるも事務仕事をいくつか終え、
福祉タクシー事業の担当者と打ち合わせをし、
またキヨエさんにつかまるも、
とうとう現場にたどりつき、二郎さんと将棋。
1時間を超える熱戦の末、勝負を終えた私。
ふと我に返り、往診の先生がまだ来てないことに気づく。

時刻は11時40分
ふと気づいたら目の前でひとみさんが電話をしています。
話している内容から推測するに、往診がまだ来てないんだけどと病院に
電話をしているようです。

おいおい、いらぬことをするなぜよ。
あっちは天下の大病院ぜよ?
天下の医者様だぜ?

私の心の声など届かぬ彼女は電話を切るなり私に言いました。
「前のところが押していて遅れているそうです」

・・・んなこと聞かんでもわかるわい。
心の中でそう思いながらも、私は「あ~」とだけ発し、
昼飯を食うことにしました。
と思ったら、まだ準備ができていませんでした。

私の隣にはなぜかサタさんがいました。
朝の薬の件の説明を私に話しにきてくれたようです。(1話参照)
なにやらまだ問題が解決してなかったようなのです。

ひとみさんが私に言いました。
「須郷さんに薬を買いに行ってもらいます」(須郷さんは運転手兼用務員です)
続けてひとみさんが私に言いました。
「このサタさんの状態のままじゃ夜勤者が大変になってしまい、かわいそうなので」

彼女が言いたいことはこうゆうことです。
サタさんは朝から漢方薬がないと職員たちに訴えている。
もう昼だ。あれから3時間以上たつ。
サタさんはその薬にとても強い執着と愛着をもっていらっしゃるので
この訴えはたぶん夜まで続くだろう。
今は昼間だからスタッフが大勢いてこのサタさんの訴えを聞いていられるが、
夜は夜勤者一人になる。夜勤者は一人でやらなきゃいけないことがたくさんあるので
サタさん一人にかまっていられない。
このままではサタさんは夜も寝ないで訴え続けるかもしれない。
ならば今のうちにサタさんが求めているその薬を用意すればいい。
ということなのです。

なんてやさしいのでしょう。。。
私は「うん。うん。」とその意見に同意しました。

時刻は12時をまわりました。
私はサタさんの隣で昼食の焼きそばを食べ始めました。
サタさんも焼きそばとおにぎりを食べていました。
サタさんは言いました。
「このおにぎりうめぇな」
その小さな独り言は、近くにいた蛯名さん(調理員)にたぶん届きました。

私も言おうとしました。「おにぎりおいしい?」
しかし、その言葉は発せずに飲み込みました。
なぜならサタさんは耳がかなり遠いので、どうせ聞こえないだろうと思ったからです。

そして、私もおにぎりを食べようと思ったら、
私のお盆にはおにぎりがありませんでした。
「あ~、利用者にだけおにぎりがつくんだ~」

近くにいた職員が気を聞かせて言いました。
「おにぎり持ってきますか?」

私は言いました。
「いや、いらない」
サタさんがせっかくおいしいと言ってくれたおにぎりを
もし私が食べて、おいしいと言えなかったら、
蛯名さんに申し訳ないと思ったからです。

時刻は12時10分

玄関のチャイムがなりました。

続く。。。。


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