前回までのあらすじ・・・
朝からサタさんにつかまり、
新しい入居者さんが入る居室のチェックを終え、
キヨエさんにつかまるも事務仕事をいくつか終え、
福祉タクシー事業の担当者と打ち合わせをし、
またキヨエさんにつかまるも、
とうとう現場にたどりつき、二郎さんと将棋。
その後昼飯。そして往診。
時刻は昼の12時半。
やっとばたばたとした午前中も終わり、緩やかな午後が始まります。
部屋に入って昼寝をする利用者もいるため、職員も順番にお昼休みを取ります。
私は基本的にはというか、まったく昼休みというものを取りません。
休むほど働いていないからです。
リビングが静かになり、場が静けさを持ったころ、
それを打ち破る音楽をばかひとみがかけました。
演歌です。
年寄りは皆演歌が好きだと思っているのです。
まったく画一的なケアです。
私はこうゆうのが大嫌いなのです。
私はその音がはやくやめと思っていたら電話が鳴りました。
電話をでるためにばかひとみは音楽のボリュームを下げました。
そしてそのボリュームが上がることは二度とありませんでした。
たぶん忘れているのでしょう。
静けさを取り戻した私は、新しく入る入居者さんのフェイスシートに
目を通すことにしました。
フェイスシートとは、利用者さんの「氏名、年齢、性別、家族構成、健康状態」など、
基本データをまとめた用紙のことです。
「この利用者さんはどんな人か」を知る書類です。
事細かに趣味や生い立ち、生活歴、習慣、身体的特徴なども書かれています。
どこまで身体介護が必要か、徘徊はあるか、トイレは自分で行けるのか、
食事の好みは?などなど
隅から隅まで一字一句目を通せば、その人となりがそれなりにイメージできます。
その新しくうちに入る利用者さんは現在他の会社がやっている
住宅型有料老人ホームに入居されています。
住宅型有料老人ホームは介護保険施設ではないので、介護サービスを提供する義務はなく、
介護が必要な方には訪問介護サービスを利用させることが一般的です。
そのために必要なケアプランを担当のケアマネージャーが毎月作っています。
ここらへんは制度のひずみというか、一般の方々が理解に苦しむところです。
介護施設は約10種類もあるのです。
え~!?
という声が聞こえそうです。
何が違うの?って?
ほとんど違いはありません。
続く。